20世紀に入り、交通機関とマスメディアの発達により物と人の交流が世界的な規模で拡がっていきました。
このような時代に時計も懐中時計から、即座に時刻を読み取ることができる腕時計へと移っていきます。
今回はこの時代のオメガについて紹介いたします。
2024.06.27
20世紀に入り、交通機関とマスメディアの発達により物と人の交流が世界的な規模で拡がっていきました。
このような時代に時計も懐中時計から、即座に時刻を読み取ることができる腕時計へと移っていきます。
今回はこの時代のオメガについて紹介いたします。
腕時計の発明時期には諸説あり、17世紀ごろ女性用としてブレスレットに時計を組み込んだものや、19世紀末にイギリスの乳母たちが懐中時計だと子どもたちにいたずらされるので、懐中時計にストラップを付けて使っていたという記録もあります。
腕時計として製造されたのは、1880年<ジラール・ぺルゴ>がドイツ軍からの注文で作ったものが最初とされ、時を経ずして他社からも各国の軍隊へ納入されたとされています。
オメガもこの頃にはじめて、12ラインという女性用懐中時計に用いられる小型ムーブメントを銀製のケースに収め、楕円形のストラップ装着部を取り付けた腕時計を製作。10数年後の第一次世界大戦中、ほぼ同スペックの腕時計が製造され兵士たちに使用されました。
腕時計は戦場から普及がはじまりましたが、20世紀に入り、交通機関とマスメディアの発達により物と人の交流が世界的な規模で拡大しました。
このような時代背景の中オメガは1909年には、6大陸すべてに商品の流通網を拡げていました。これはオメガの時計が正確なだけでなく、簡単に修理ができるキャリバーを搭載していたからでもあります。
画像出典元:オメガ公式
腕時計は男女問わずエレガントな装飾品としても脚光を浴びます。
第一次世界大戦後から20年代には当時のアールデコの流行もあり各社から様々なモデルが発売されました。
その中でも一隻を風靡したのは、幾何学的な美しさを強調したレクタンギュラー(角型)やトノー(樽)型でエレガントなスタイルでした。
オメガもエレガントなスタイルの腕時計や懐中時計を製造していましたが、中でも1925年、アールデコの誕生の場ともいわれるパリの現代産業相祝芸術国際展覧会ではグランプリを獲得。デザイン分野でもパイオニアとしての存在感を発揮します。
画像出典元:オメガ公式
このような時代でしたが、オメガはエレガントな腕時計だけを作っていたわけではありません。
精度向上の追及は1905年には、ジュネーブ天文台から1年間に発行されるクロノメーターの公式証明書の42%をオメガが取得。ビエンヌの公式時計検定所においては68%をオメガが占めるという好成績を収めています。
決定的なのは、1931年にジュネーブ天文台で行われた6つの試験すべてで精度記録を打ち立てたことです。オメガのクロノメーターは様々な状況において、これまでの他の時計が記録してきた数字よりも優れた精度を示しました。
1932年のロサンゼルスオリンピックの全競技でタイムキーパーを務めた初の時計ブランドとなり、それ以降ほとんどすべてのオリンピックで、オフィシャルタイムキーパーとしてオメガが務めることになる前年の出来事でした。
なお、ロサンゼルスオリンピックでは、30のクロノグラフを使いましたが、時計技師はたったひとり。精度だけでなく性能への強い自信とプライドを感じられるエピソードです。
画像出典元:オメガ公式
オメガを語るキーワードの一つに”スポーツ”がありますが、このオリンピックのタイムキーパーとしての責務の他に、同時期もう一つの今もオメガに欠かせない時計が誕生します。
1932年、オメガ初であり、ダイバーズウォッチとして世界で初めて商業化された『マリーン』の登場です。
画像出典元:オメガ公式
『マリーン』はダブルケースを6時位置側だけでストラップに固定し、12時側からアウターケースをすっぽり被せて裏側でクリップで留め、内側はコルクで密封する構造で、時計の中心部に水やその他の物の侵入を防ぎます。
この『マリーン』、ダイバーズ・ウォッチでありながら角型のスタイル的にはアールデコを踏襲したモデル。現在でも防水時計は丸型が一般的なのに、何故、角型でリリースされたのでしょうか。
これは、単なるダイバーズ・ウォッチではなく高性能な防水性能を持つ腕時計としてリリースされたと推測できます。
というのも、1926年にロレックスから既に裏蓋とリューズがねじ込み式のオイスター・ケースの特許を申請しており、オイスター・システムが使用できなかったこと、これに対抗する技術的なチャレンジ精神と当時の流行が結実した一本がこの『マリーン』のスタイルとなったのではないかと推測しますが、皆様いかがでしょう?
1930年創業。年間修理実績10万本以上。 わたしたちは時計修理業界のリーディングカンパニーです。
弊社は時計修理一筋90年以上の不器用な会社ですが、これまで多数の有名百貨店や時計店とお取引をしており、ビックカメラさんやヨドバシカメラさんといった大手家電量販店の時計修理コーナーの運営も担っています。
手前味噌ではありますが、弊社の技術力は時計修理の業界内でも高い信頼を得ていると自負しております。
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『機械式時計大全』山田五郎 (講談社選書メチエ)
『THE OMEGA BOOK 時計氏に燦然と輝くスイスの最高峰ブランドーオメガ150年の軌跡ー』(徳間書店)