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時計修理・
メンテナンスのコラム

【水没した時計の修理】防水時計も故障する?腕時計を水没させた時の対処法

腕時計は、日常的に使用するものです。そのため、誤って水没させたり濡らしたりして慌ててしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。「防水ではない腕時計を水没させてしまった。どうすれば再び使えるようになるか知りたい」「濡れた時計をドライヤーで乾かしたら、もう一度使えるようになる?」「水没したので、使用を諦めて放置していた時計も、修理は可能?」など、水没した時計に関するさまざまな声が上がっています。

適切な対処法を知っていれば、修理できたかもしれないのに、知らずに放置したばかりに、修理不可能となってしまうのは、大変残念なことです。

時計の水没は他人事ではありません。万が一に備えて、腕時計を水没させた時の対処法や、水から守るための注意点をチェックしませんか。

本記事では、非防水や生活防水時計を水没させた時の対処法について詳しくご紹介します。また、潜水に使える防水時計であっても、内部に水が入るケースがあるため、潜水時計の注意点についても併せてご説明します。

あなたの大切な腕時計を水没による故障から守り、末永く大切に使い続けるためにも、ぜひ参考にしてください。

腕時計を水没させると電池や針、ムーブメントなど内部の故障につながる

時計は精密機械なので水に弱い!洗濯してしまったら内部破損の危険も

愛用の時計がどれくらいの防水性能を持っているか知っていますか?
時計の防水機能は、多種多様です。防水性を持たない非防水時計から、汗や水滴、雨などには耐えられるもの、水泳など水上スポーツが可能なもの、スキューバダイビングが可能なものまで、用途ごとにさまざまな種類があります。「生活防水対応」「防水時計」といった表記があったとしても、水没させてしまった時は注意が必要です。時計は精密機械であり、内部に水が浸入すると、変色や錆により、故障の原因になるからです。

水没するシーンとして以下のようなケースがあるでしょう。

  • ・服のポケットに入れたまま、洗濯機に入れてしまった
  • ・服のポケットに入れたまま、釣りに行き、海(川)に落としてしまった
  • ・屋外に置いておいたら、どしゃぶりの雨に打たれた

また、水没にまで至らなくても、水滴や汗が付くシーンとして以下のようなケースもあるでしょう。

  • ・炎天下で使用して汗で濡れた
  • ・腕時計をしたまま、洗い物などの家事をして濡れた

このように、日常の中でもさまざまなケースが想定されます。

非防水時計は言うまでもなく、日常生活用防水時計であっても、内部のパッキンが緩んでいたり、劣化していたりすると、本来の防水性能を発揮することは難しくなります。スキューバダイビングが可能な潜水用の時計であったとしても、洗濯機で洗ってしまった場合などは、時計内部の部品が破損している可能性も考えなければなりません。

「水没させたけれど、動いているから大丈夫」と思い込むことはもっと危険です。今は動いていても、時計内部の浸水により、電池の腐食や内部の変色、錆の進行などにより、今後、時計の故障につながる可能性もあるからです。

応急処置は水気を取ること!自分で乾かすのはトラブルのもとになる可能性

非防水時計や日常生活用防水時計を水に濡らしてしまったり、水没させてしまったりした場合の対処方法は、どのようにすればいいのでしょうか。ここで重要となるのが、どの程度濡れてしまったのかという点です。まずは2つの状況別に、応急処置の方法についてご説明します。

汗や水滴などで濡らしてしまった場合

乾いた布でしっかりと水分を拭き取ります。次に動作を確認し、正常に動いているようであれば、風通しの良い場所に置き、様子を見てください。

洗濯機で回したなど水没させた場合

そのままにしておくと内部が錆びてしまうため、分解し、部品を乾かす必要があります。中には自分で裏蓋を開けてドライヤーなどで乾かそうとする人もいますが、破損につながる可能性があるため、絶対に避けてください。
応急処置としてやるべきことは、時計外部の水分をしっかりと拭き取り、リューズを引っ張ることです。少しでも水が抜ける状態をつくった上で、一刻も早く時計修理専門店に修理を依頼することをおすすめします。

腕時計を水没させた場合はオーバーホールが有効

水没など水気によるトラブルは、時間が経てば経つほど状況が悪化する可能性が高くなります。プロである時計修理専門店などで、時計を分解して、適切な対処を行わない限り、内部の変色や錆が進行してしまうため、できる限り早めに修理やオーバーホールを依頼することをおすすめします。

水没に関連するオーバーホールは、内部の浸水状態によって変わります。費用は一概にお伝えすることができないため、一般的に、見積もりでの対応となります。

お手元の時計が水没したなど、各種トラブルが起きた場合は、月間時計修理数1万以上の弊社(五十君商店)にぜひご相談ください。

>浸水など現在の症状と修理対応について詳しくは「修理症状から選ぶ」をご参照ください
>弊社のオーバーホールを詳しく知りたい方はこちら

なお弊社では、防水時計のオーバーホールをする際には、最終段階で防水試験を行っています。オーバーホール後の時計をお渡しする際には、現在の状況や故障から守るためのアドバイスなども併せて行っていますので、ご安心してお任せください。

防水時計のガラス内部が結露した時の原因と対処法

防水時計のガラスの曇りや水滴は?内部浸水が原因

防水時計であれば、ガラス内部が曇ったり、水滴が付いたりすることはないと思っていませんか?実際には、さまざまな理由により、時計内部に水が侵入するケースは少なくありません。

どういった原因により、内部に水が侵入するのか、具体的に見ていきましょう。

パッキンの劣化

一般的な防水時計の場合、パッキンを挟むことにより、防水効果を保っています。最も分かりやすい場所ですと、時計内部のボディと裏蓋の間、他にもリューズやガラスなどさまざまな場所に応じたパッキンが使用されています。

しかし、これらは全て消耗品です。経年劣化によりパッキンが本来の役割を果たさなくなってしまうと、防水効果もなくなり、内部に水が侵入してしまいます。

また経年劣化以外にも、パッキンの劣化を早める原因として、高水圧のシャワーや温泉、高温のお湯、石鹸やシャンプーの使用などが挙げられます。

水中でのリューズ操作

水の中でリューズを操作したり、リューズを引っ張った状態で水の中に入ったりすると、リューズの隙間から水が入ることがあります。この場合、部品が錆びてしまう可能性もあります。同様に水中でのプッシュボタン操作も内部浸水の原因となります。

時計のガラス部分のヒビ・割れ

落下などにより、時計のガラス部分にヒビ・割れが生じている場合、その部分から水が入り込むことがあります。肉眼では見えないほどの傷であっても、実際に水分が侵入してしまい、ガラス内部が曇るケースは少なくありません。この場合、内部にも破損時のガラスの破片が入っている可能性があります。

防水機能が正常かどうかを確認するポイント

内部に水や湿気が入り込んでいるかどうかを確認するポイントとしては、「ガラスの内側が曇る」「針やインデックスの変色や曇り」「リューズやボタンの固さ」が挙げられます。

針やガラスの内側、インデックスが曇っていたり、変色していたりする場合、内部の湿気や水分が悪影響を及ぼしていると考えた方がいいでしょう。また、リューズやボタンが固くて動かない場合も、水分の影響で腐食が進行し、錆が発生していることが原因である可能性があります。

防水時計でも性能に違いあり!場所や使い方に注意が必要

時計は精密機械であり、防水性能があったとしても、時計内部が水に弱いことに変わりはありません。時計の外側の部分にパッキンなどを使用することで、内部への水の侵入を防いではいるものの、使用環境によって、水分が中に入る可能性は十二分にあります。

「日常生活用防水」「潜水用防水」の違いを知る

今お持ちの防水時計は、日常生活用でしょうか。それとも潜水用でしょうか。基本的に時計の防水性能は、ISO規格やJIS規格によって表記方法が定められています。

ISO(国際規格)
一般用防水 Water Resistant「○○」m
潜水用防水 Diver’s「○○」m
JIS(日本工業規格)
日常生活用防水(JIS1種防水時計) Water Resistant「○○」bar
日常生活用強化防水(JIS2種防水時計) Water Resistant「○○」bar
空気潜水用防水(JIS1種潜水時計) Diver’s「○○」m
飽和潜水用防水(JIS2種潜水時計) Diver’s「○○」m

※「○○」は防水仕様によって異なります。

上記はあくまで一例であり、全ての時計に同様の表記がある訳ではありません。

日常生活用の防水表示はbar(気圧)かm(メートル)、潜水用の場合はm(メートル)と表示をすることになっています。
水に触れる機会が多い仕事(漁業や農業など)であれば、「日常生活用強化防水時計(JIS2種防水時計)」、スキューバダイビングなど長時間の潜水に使用したい場合は、「潜水時計(JIS1種潜水時計)」など、時計を購入する時には、使用するシチュエーションも考慮する必要があります。

詳しい防水性能表記(JIS規格)については、「一般社団法人 日本時計協会【防水時計の種類とその用途】」をご参照ください。

防水時計使用上の注意点

防水機能付き時計であっても、水が触れる場所で使用する際には注意が必要です。防水時計に悪影響を与える行動について、ご説明します。

  • ・温泉に入る
  • ・サウナに入る
  • ・自宅のお風呂に入る
  • ・熱いシャワーを浴びる
  • ・ボディソープや石鹸を使う
  • ・強い水圧を時計に与える(シャワーや水道水でもNG)

防水性の維持に必要なパッキンは日々劣化をしています。水や温度、圧力がかかることによりパッキンの劣化を加速させ、防水不良の原因となります。
防水機能があっても、使用場所には注意し、防水性が損なわれないようにすることが大切です。

結露でガラスを曇らせないためには日頃のケアを大切に!

防水性能を保つためには、水に濡れた後の時計のケアが重要です。
クロスや柔らかい布、綿棒などパーツや素材に合ったケア用品を用いてケアを行いましょう。日頃のケアが、水の浸入や結露の可能性を軽減させます。海やプールで使用した後の時計は、塩分や塩素が付着しているため、布で拭き取るだけではいけません。

海やプールの後にやるべき、ダイバーズウォッチの特別なケアについて説明します。

1.洗面器などに30度前後のぬるま湯を準備する

部品が外れた際に落下する可能性も踏まえ、必ず洗面器やボウルなどの入れ物の中で行いましょう。

2.時計を浸ける前に、リューズの閉め忘れがないか確認する

リューズを閉め忘れていると、その部分から内部に水が侵入する可能性があります。必ず再確認しておきましょう。

3.時計をぬるま湯に浸し、数分待つ。汚れが浮き上がってきたら優しく全体を手洗いする

時計は繊細な精密機械です。優しく洗うことを心がけましょう。時計に付いた塩を洗い流そうとして、高水圧のシャワーや水道水を使用するのは避けてください。パッキンの劣化を早めることになります。

4.ブレスレットのコマの間やベゼルなど、手で洗いにくい箇所は、ブラシを使って軽く洗う

海水や雑菌、塩素はスキマにも入り込んでいます。必ず全ての箇所を洗いましょう。

5.乾いた布でよく水滴を拭き取る

細部まで洗い終えたら、乾いた布で丁寧に拭き取ります。

6.風通しの良いところで乾かす

水分が残らないよう、完全に乾かしてから片付けましょう。

防水時計は、しっかりケアをすることで末長く愛用することが可能です。ただし、日常生活用防水時計の場合、水に濡らしてのケアはできません。その場合は、乾いた布で水滴を拭き取り、風通しの良いところで乾かすケアを行うようにしましょう。

海に時計を着けて行く時は、水に強く、水上スポーツなども可能なダイバーズウォッチをおすすめします。

水没させた時の対処法のポイント

最後に時計が水没した時の修理方法やケアの方法について、もう一度振り返っておきましょう。

  • ・時計は精密機械であり、内部は基本的に水に弱い
  • ・時計を水に濡らしてしまったら、応急処置として、時計外部の水分を拭き取り、様子を見る
  • ・水没後、問題なく時計が動いているように見えても、内部に水が浸入している可能性がある
  • ・自ら裏蓋を開け、時計内部を乾かそうとすると、破損の可能性がある。水没させた場合は、プロによる修理やオーバーホールが効果的
  • ・防水時計でも、性能に合わない使い方や、経年劣化により、内部に水が浸入することがある
  • ・水辺で使用した後には、末永く愛用するため、防水性にあったケアを行う

あなたの大切な時計を水没させてしまった時は、創業80年以上の歴史と、日本屈指の月間時計修理数1万以上の実績がある弊社にオーバーホールをご依頼ください。

>ご注文からの一連の流れに関する詳しい内容は、「ご注文・修理の流れ」をご参照ください。

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