いざ腕時計を使おうと思ったときに、電池切れなどで動かなくなっていたということはありませんか?しばらく使わずに放置していると、時計に思わぬトラブルが起こっている可能性があります。 そこで今回は、電池交換の費用や手順を踏まえた上で、長期間放置と自分で電池交換を行う危険性について詳しくご紹介します。
2019.03.01
【腕時計の電池交換】 値段とやり方、自分でやる場合の危険性まで全て解説
腕時計の電池交換にかかる期間と費用
電池交換にかかる費用
電池交換は、時計の種類やブランド、裏蓋の形状などによりかかる費用が違います。
弊社(五十君商店)に依頼した際の参考価格をまとめましたので、ご参考にしてください。
種類 | ブランド(一例) | 価格(税込) |
---|---|---|
国産ムーブメント 裏蓋はめ込み(スナッチバック)タイプ | セイコー(ドルチェ) カシオ(アナログ) シチズン(エクシード) バーバリー(シチズン製)など | ¥1,100 |
国産ムーブメント 裏蓋ネジ込み(スクリューバック)タイプ | セイコー(グランドセイコー、クレドール(スナッチ)など) カシオ(G-SHOCKなど) ディーゼル フォリフォリ ポールスミス スウォッチなど | ¥1,430 |
国産ムーブメント ホールマーク(刻印)K18 舶来時計 | セイコー(グランドセイコー、クレドール(スクリュー)など) オメガ(スナッチ) グッチ ニクソンなど | ¥1,650 |
国産パーペチュアル(自動巻き機構) 舶来時計 | オメガ(スクリュー) IWC カルティエ ブルガリ エルメス ティファニーなど | ¥2,530 |
舶来時計 | オメガ(パーペチュアル) ブライトリング ボーム&メルシエ(K18、ネジ止め) エベルなど | ¥3,300 |
特殊国産時計 特殊舶来時計 | ボーム&メルシエ(K18、スクリュー) ショパール(ハッピースポーツ)など | ¥4,180 |
高級舶来時計 | ロレックス ジャガー・ルクルト(レベルソ) ハリー・ウィンストン ショパール(ハッピーダイヤ)など | ¥6,600 |
※その他特殊品に関しては、メーカー修理や内部保証ができない可能性もございます。
※複数電池を使用している時計は、電池個数により価格が変更されます。
※防水テスト(20気圧まで)は別途¥1,620かかります。
電池交換の作業時間と新たに交換するまでの期間
電池交換にはどのくらいの時間や期間がかかるのでしょうか。
メーカーや店によっては、店頭では電池交換をせずに、時計をお預かりして作業を行っている場合もあります。急に時計を使う予定があるならば、依頼前に確認するとよいでしょう。
弊社店頭での電池交換は、混雑していない限り5~10分ほどで可能です。
ただし、店頭で取り扱いしていない電池(一部のソーラー電池など)や特殊な時計はお時間がかかることもございます。同じく、漏液などで時計内部にトラブルが生じている場合も、可能な限りの対処を行うため同様です。
また、電池の寿命はムーブメントの種類や状態などによって異なりますが2~3年ほどです。針の本数やクロノグラフ、バックライト機能などの電池消費量や、ムーブメント内部の動作により、多少長くなったり短くなったりします。
購入したばかりの時計であっても、商品を出荷してから手元に渡るまでのインターバルが長いと、寿命より短くなることもあります。
電池交換のタイミングは、時計が完全に止まる前に行うことをおすすめします。
時計によっては、秒針が2~4秒ずつ進むなど、電池寿命をお知らせする機能が付いているものもありますので、まずはお手元の時計をご確認ください。
腕時計の電池交換方法。手順や必要な時計工具、注意点を紹介
STEP1:専用時計工具で裏蓋を開ける
腕時計の電池交換は、どのように行っているのでしょうか。ここでは、弊社で行っている電池交換の手順を元に、「プロが行う電池交換」についてご紹介しましょう。
まず、電池が入っている腕時計の裏蓋を開けます。腕時計の裏蓋は、大きく分けて3種類の形状があり、それぞれ特徴や防水性、開閉するために必要な時計工具が違っています。
・はめ込み式 / スナッチバック
裏蓋を本体に押し込むタイプ。
本体と裏蓋の間に隙間があり、「こじ開け」というオープナーを使い、てこのように裏蓋を開きます。
裏蓋パッキンがあるため、防水性や気密性は低くありません。
・ネジ込み式 / スクリューバック
裏蓋自体がネジ状になっていて、本体にねじ込むタイプ。
時計の裏蓋を上にして「保持器」に固定し、オープナーの爪を裏蓋にある溝に合わせて、引っ掛けて開きます。ブランドによっては、専用のオープナーが必要です。
裏蓋パッキンと裏蓋をねじ込むため、気密性・防水性にとても優れています。
・ネジ止め式
本体と裏蓋をネジで固定するタイプ。
精密ドライバーを使い、裏蓋を開きます。
時計本体が円形以外なもの、装飾性が高いドレスウォッチやクラシカルな時計に多く、防水性はあまり高くありません。
STEP2:電池交換・時計の状態確認
裏蓋を開けたら、時計に電池がどのように入っているか(そのまま、固定、リード板など)を確認し、ピンセットを使って電池交換を行います。
外した電池の電圧や消費電流を測り、電池の寿命切れか時計内部の問題かを確認し、電池交換や修理、オーバーホールなどの必要性を判断します。
最後にパッキンの劣化を確認して、交換やグリス(液状潤滑油)を塗布します。
STEP3:汚れを取り、裏蓋を閉める
電池交換終了後、裏蓋の周りのゴミや汚れ、錆などをクロスやブラシを使い取り除きます。
専用時計工具を使い、裏蓋を完全に閉め終えたら電池交換が終了です。ご希望があれば、オプションで防水テストなどを行います。
自分で電池交換を行う危険性について
ここまでで、専用の時計工具があれば「自分で電池交換できるのでは?」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
慣れない手つきで裏蓋の開閉を行うと、外装に傷をつける可能性があります。
内部には100を超える繊細な部品が使われているため、誤って傷をつけたり、コイルなどを切ったりすると取り返しのつかないことになるでしょう。
また、時計は精密機械です。目に見えないほど小さなゴミやホコリが侵入しただけでも、部品に影響を与えてしまいます。ゴミやホコリなどで傷ついた部分が広範囲になると、部品の摩耗や破損などのトラブルの原因となります。不具合を起こした部品は交換する必要がありますので、修理代がかかったり、時計自体が修復不可能となったりする場合もあります。
弊社に持ち込まれた時計の中で、裏蓋を開けたらゴミや髪の毛などが侵入していることもあります。
不要なトラブルを避けるためにも、大切な時計の電池交換は自分で行わない方がよいでしょう。
電池が切れた腕時計を長期間放置するデメリット
電池の漏液、腐食、錆などによる内部部品の劣化、交換
時計を長期間放置した場合、どのようなことが起こるでしょうか。外側からは分からなくても、内部ではトラブルが起こっている可能性があります。
電池が切れた状態で長期間放置しておくと、過放電の状態となり、電池内部の溶液が漏液します。漏液は電池の仕様で、溶液の劣化により電池が破裂するのを防ぐために起こります。
しかし、漏液による内部部品の錆や腐食が起こり、部品の摩耗や破損、正常に動かなくなる可能性があります。さらに腐食や破損した部品は、分解掃除や不良部品の交換が必要となるでしょう。
パッキンや裏蓋のネジなど部品の劣化
ホコリや水分の浸入を防ぐパッキンは、正しい使い方をしていても日々劣化をしています。パッキンが劣化すると、隙間より水が浸入し、防水性が損なわれます。
また、裏蓋がネジ止め式の場合、ネジに付いた皮脂汚れや循環油の劣化により、ネジ穴にドライバーが入らない、ネジ自体が回らないなどのトラブルもあります。ドライバーで力任せに回すと、ネジ穴をつぶしてしまう危険性もあるでしょう。
電池交換はどこで行えばよいのか、家電量販店・時計修理専門店などを比較
家電量販店の時計修理・電池交換に依頼する
ヨドバシカメラやビックカメラのような家電量販店に電池交換を依頼するメリットは、その手軽さにあります。普段の行動範囲の中で、電池交換をお願いしたい人も多いでしょう。しかし、家電量販店の技術者レベルは、実際に依頼しなければ分からない部分も大きく、不安を感じる方も少なくありません。大切な腕時計を預ける以上、どういった人物がどんな作業を行うのか、確認する必要があります。
弊社のように、時計修理専門店から技術者を派遣し、時計修理を行っている家電量販店もあります。依頼する際は、よく確認することをおすすめします。
大切な時計は長く使いたくても、電池交換にお金をかけたくない方は多いと思います。
ですが、長く使うためには、「プロの目」で現在の時計の状態を正確に確認してもらい、適切な判断を行うことが重要です。
中身が見えない時計は、内部にトラブルを抱えていても気が付かないことがあります。動かない原因が本当に電池交換で直るのか、正確な症状や状態については、専門の職人が時計を開けてみるまで分かりません。
時計修理専門店の中には、よかれと思い先に修理を行ってしまうところもあります。ご自身の時計の状態は、きちんと説明を受けてから、納得した上で判断しないと後悔することがあるかもしれません。
さらに、早めのメンテナンスは、結果的に時計の維持コストを抑えてくれます。
正確な時計診断を分かりやすく説明できる時計修理専門店ですと、安心して大切な時計をお任せできるのではないでしょうか。
弊社では、店頭にて電池交換を行っております。直接向き合い、気に入っていただいた数多くのお客様に支えられてまいりました。単なる電池交換だけではなく、簡易的な清掃、動作確認など、時計がより長くご使用できるようにお手伝いしております。時計の状態を見て、適切なオーバーホールのタイミングなど、アドバイスを行いますので、ぜひお近くの店舗までお越しください。
御徒町店(本社)
東京都台東区上野5‐24‐1
JR山手線「御徒町」駅より徒歩3分、東京メトロ日比谷線「仲御徒町」駅より徒歩1分
新川崎店
神奈川県川崎市幸区鹿島田1-1-5
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なお、ネットでの時計修理やオーバーホールはお受けしておりますが、電池交換のみは行っておりません。